To be continued

単純な日記です。

チェンソーマンを勝手に二次創作チャレンジ

少年ジャンプにて連載中のチェンソーマンのあの回の部分を勝手に予測を立てて過去に作ったものです。本編のチェンソーマンとはまったくストーリーが違ううえ僕にその権利はまったくありません。(※リュウジというキャラクターは勝手に作ったもの)チェンソーマン好きです。
息抜きにどうぞ〜







「うおああああ!!」
デンジ達の目の前で、悪魔が討伐される。
「ふう」
汗をぬぐうアキ君。「・・・こいつは、雑魚だな。剣を研ぐあてにもなりはしない」
???「ははは。まあ、負傷者が居なかっただけましだな」
デンジは、血まみれになりながら、一人だけ何かに拘束されている。
そして、からみついてくるタコ状の悪魔をちゃんそーで切り裂こうとしている。
「ちょっ・・・なんで俺だけこういう、こまけーのが来る・・・」
アキ君「ちょっと待ってろ」
ズバっ!
アキの剣使いにより、ばらばら!とタコの足が切り裂かれ、道路に転がり落ちたその悪魔の頭をデンジがぶっ潰す。
ブシャアア!!
「見たか!!」
???「もう見てねーだろ・・・」
「うるせえよ、おっさん。一番弱いくせに」
???「はあ?うっせえな、悪魔の分際で。
・・・いいか、公安課っていうのはポテンシャル、攻撃力だけで地位が決まっているんじゃねーぞ。
どれだけ役に立つかってことなんだよ。
お前みたいに、ただパワーだけでかくて使いこなせていないんじゃ、マキマさんからいつ引導渡されても・・・」
アキ「しっ」
???「!」
デンジ「まだ、いるな」
ビルの陰に、巨大な悪魔の影がぬらりと見える。
アキ「これは、応援が必要だな。」
デンジ「なんでだよー。俺たちだけでじゅうぶんだろ。俺は、いくぜ。」
走り出すデンジ。いら立つアキ「あいつ・・・」


ここで、回想。
デンジ「なんだ、このおっさん」
アキ達の住む部屋に見たことのないおっさんがいる。
デンジ「だれだ、こいつ」
アキ「ああ、この人は公安課の○○にいる斎藤リュウジさんだ。ベテランで、悪魔とも契約してはいないため能力も凡人と同じなのだが人間的に素朴で、いろいろな武器を使いこなせるのが重宝されているんだ」
斎藤「なんだ、その紹介の仕方は。アキ、お前・・・偉くなったな。・・・まあいい。デンジ、はじめましてだな。」
がっちりと、デンジの手をつかむリュウジ。
デンジ「ふあ?」
リュウジさんというのは珍しく、悪魔とは契約していないまま生き残ってきた要員で、その能力は強さというよりもともかく、生き残りに長けているのだと言える。
あらゆる強い生き物にも必ず盲点や弱点がある。リュウジさんはいつも戦線の最後方に居て、それを探り、人を使い、そして自分が危うい時にその武器で急所をえぐるというような戦いをしてきた人だ。当然、人の死も多く見ているし、死闘もさまざまに経てきた・・・・裏切りや、自殺、逃亡、人の暗い部分をたくさん経験してきたリュウジさんは、なぜだか誰よりも明るい。戦い方はたしかにダサくて弱いのだが、けれど俺はリュウジさんを尊敬している。
リュウジ「食べるのは何よりも大事なことだぞ。アキ、もっと食え。・・・デンジ、パワー、おまえら、それ以上食うな。」
デンジ・パワー「は?」いつものように、取り乱して食う二人。まるで動物である。
リュウジ「・・・いつもこうなのか?」
アキ「ええ」
リュウジ「大変だな」
アキ「・・・・」
すこし落ち着いてからリュウジは日本酒を飲む。
「ああ、うまいな。」
デンジ「おっさん、それ俺は知ってるぞ。サケってんだろう」
リュウジ「ああ。サケはうまい。・・・けど、これは前飲んだのよりも少し味が劣るな。銘柄は同じだったんだが・・・」
アキ「どこも不況ですからね」
リュウジ「いや」
アキ「?」
リュウジ「こういうのはな、・・・飢えているほどにうまい。それから、働いてきた後に飲む酒ほどにうまい」
デンジ「飢えているほどに?」
リュウジ「ああ。」

そういえば、あの生活の中、自分が口にできた食物といえば残飯だったり、木の根っこだったりした。そんな中で時々、いいもんが紛れ込んでいることがある。それを食ったときのあの味の感覚は、いまだに忘れていない、とデンジは思う。
デンジ「飢えているほどに・・・か」

リュウジがエロ雑誌を眺めているのを、デンジが覗き込んでいる場面。「なあ。おっさん」
「ん?」
「そういうのも、なれちまえばそれほどおいしくなくなるもんか。」
「え・・?ああ、こういうのか。そりゃあお前・・・」
聞き耳を立てるアキ。

「いや・・・俺は、いつでもいけるけどな。」
「・・・参考になんね~な~」
「は。お前参考にしたかったのか。なんだ。言ってみろ」
「いや、だから」
ここから、ひそひそ声で話す二人。
「・・・・・そりゃあお前、『おあずけ』っていうやつだろうな。」
「え」
「あのなあ。『おあずけ』は女の持ちうる、最も強い武器なんだよ。おまえ、マキマさんほどの手練れがお前のように生ごみ臭いやつに即・女の操を明け渡すわけがないだろう。デンジ。よく聞けよ。いくら強くても、優しくっても、男と女は根本的に違うんだよ。おまえ、自分で赤ちゃんが産めると思っているのか。」
「産めるわけねーだろ」
「そうだろう。女っていうのはそういう不安要素をいくつも抱えているんだよ。だから女は自身を死守するし、俺たち男はそれを・・・いや、まあいいか。
けどなんかその相手の女、あやしいやつだな。」
そうなのである。とりあえずあの場ではデンジは軽めに「そうだね。そうする」と応えたのだが、じつはピンと来ていた。それというのもデンジにはもともと思考回路というのが子供くらいにしかなく、その代わりに動物的なカンがかなり鋭敏に備わっていたのである。女といえども、それに対する嗅覚は失われていなかった。
デンジは自分の中にある強めの性欲と、不信感がぐるぐると渦巻いてきて、それが凶悪なストレスとしてあることに苦しんでいた。

夜、うなされるデンジ。
(そもそも・・・おあずけってなんだ。マキマさんは俺をバカにしているのか・・・?)
(いや、違う・・・マキマさんは俺を見込んでくれた人だ。)
(けど、会ってもくれないし・・・俺から連絡を、取る・・・・)電話を持ち、ちらりと隣を見てみるとパワーちゃんが大股を広げてぐがー!ぐがー!と眠り込んでいる。
(何、やってんだ俺。)
そうなのだ。飢えは人を時におかしくする。こんな夜中に連絡するというのは悪魔といえども情けない。

デンジはあの強烈な飢えのなかで口にしてきたものを思い出す。まずかったもの、おいしかったもの。苦しい思い出。
そしてそのあとで見た、マキマさんの顔。それから、施し。
マキマさん・・・・
マキマさんは俺を手なずけようとしたんだ。
あれは最高に、おいしかった。俺は、生きたい、と強烈に思った。
生きたい、と思うから人は食うし、つらいことや難しいことでも、なんでもするようになるんだ。
(死んでいった奴ら、一体何が食いたかったのかなあ。)
なあ、ポチタ・・・お前は何が食いたかったんだ。
人と人との関係性って一体、どういうことなんだ。信頼する、って一体どういうことなんだ・・・・

次の日。まだレゼさまと会うデンジ。
デンジにべたべたしてくるデンジは、不信感を積極的に忘れていちゃつこうとする。
(そうだよなあ~俺はいま、政府に活用されているけど、こうやって普通の男子高生みたいに自由を謳歌する権利がちゃんとあるよなあ~)
「ん?」

「どうしたの?」レゼがデンジを覗き込む。

「いや・・・ケンリ、って何かなと思って」
「ふふ。デンジくんってなにも知らないのね。
それはね、(ちょうだい)って言わないともらえない果物のことだよ」
「ちょうだい、?」
「うん。そうよ。」
(何か、エロいな・・・)
「でね。デンジくん。この書類見てみてくれる?」
レゼが、机の上にずらーっ!と書類を並べだす。
「なに、これ?」
「デンジくんの明るい未来のために私の親切なおじさんが用意してくれた書類だよ。わたしの所属しているコウフク・アカルイミライ会が入信者に用意しているもので・・・・」
(嗚呼・・・・・やっぱり)
気が遠くなりそうになるデンジ。しかしここまで来たのだからデンジのせいよくというのも負けてはいられないというアラームを発し始める。なにはともあれ、もったいないじゃないか。
レゼ。お前が俺の本当の幸福を願っているわけでないのはわかったぜ。けどな、お前はかわいい。それに女体も持っている。ここからはレゼ・デンジのタイマンだ!

「あっ、あ~ちょっと用事思い出した。」
「へ?」
二人で、バッティングセンターの入り口へと消えていく。
「ねえ、デンジくん、なんでこういう。。。」
カキーン!
「よし!あたった!」
「・・・・」
カキーン!
「またまたあたった!」
(こいつ本当に、運動神経バカ・・・)
デンジは、頭はポチタ程度なのだが、こういうことに関しては百発百中なのだ。
「(仕方ないわねえ)じゃあ、あたしもやろっと。」
カキーン!

「はあ。つかれた・・・」
「本当。隣にずっと張り合ってきてた高校生カップルも帰っちゃったね」
「だろ。」
「デンジくん、高校生じゃないわ。」
「じゃあなに。おれって何なのかな」
「うーん。・・・・・お気に入りにされたアクマ?」
レゼがふふ、と笑うと、デンジが唐突にレゼにキスを仕掛ける。「!!!」
「うわっ、うま!」
「え!?」
「いや・・・なんでもない」
本当は、レゼがデンジから突き放されて少し寂しそうにしていたからそう感じただけだったのだが、デンジは「今度からごはんを食う前は、必ず腹を空かせるようにしよう」と見当違いに思い込むのであった。
レゼは今までお遊びで誘っていただけだったのだが、意外と「ちせい」のありそうなデンジにちょっとドキリとする。レゼさまも一応オンナノコだったのである。
デンジは、かえってから眠りにつく。マキマさんが話してくれた映画のこと、それからレゼの見せる楽しそうな顔、ちらりとよぎったさびしそうな顔、驚いた顔。ぐるぐると周り、自分はどれが欲しいのか、どう感じているのかよくわからなくなる。レゼといるのは楽しい。けれど、強烈に寂しい時、自分がもとめるのはもっと家っぽいにおいのする、ポチタのにおい。それからそれと少し似ているマキマさんの知らない過去の方なのかもしれない。
(ケンリ、かあ。どうもよくわからん。俺にそんなもの、なかったからかもしれない。)デンジはその傷だらけの手のひらをほおりだし、ねむりにつく。
デンジはそのてのひらを使って、もらうことについて考えているのかもしれない。実はそれによって、デンジから人に与えることもじゅうぶんにできうるのだということを、まだ誰からも教えてもらっていない。
力を手に入れ、行使する。力が大きいほどに、その見返りは大きく、小さいものほどにリスクが高まる。
デンジにはその力がある。
その先にある未来と、アキ達の過去。それから女たちの抱えているものの大きさにまで、デンジは想像することはまだできない。


戦いのシーンに戻る。
大き目の悪魔と戦うデンジ。はじめはチェンそーの威力もあり、意外と好戦を続けるのだが、やはり経験値が少なすぎる&はちゃめちゃなデンジはいったん体制をくずすと立て直すまでが遅い。それに手札も少ない。相手に少しでも「知力」があるとどうしても苦戦を強いられてしまう。
リュウジ「デンジ・・・お前もっと善戦しろよ」
デンジ「うっせーな!」ばかすか切りまくるデンジ。
そこの前に立ちはだかり、ずばっ!と悪魔のあたまを切り裂くアキ君。
二人があっけにとられた顔で、アキの方を見る。
「デンジ。マキマさんに報告するぞ。お前が指示も聞かず、街を壊しまくってるってこと」
「・・・・・」
おとなしくなるデンジ。
「なんだ。お前の弱点はマキマさんってことか。そのこと、ほかの悪魔には聞かれないようにしたほうがいいぞ」
「はあ?」
「当たり前だろう。悪魔は人間の弱みに何よりも漬け込むんだよ。なんだっていいんだ・・・奴ら。恋、金、家族、希望、そんなもの、悪魔にしてみればハエをおびき寄せる腐った魚の頭となんにも変わりない。」

「恋・・・」
「なんだよ。」
「なあ、おっさん。・・・恋ってなんなんだ」
女どもは、恋を餌にして皆デンジをゆうわくしてくる。マキマさん、死んだ先輩、それからレゼも・・・
そうしてこないのは、クレイジーなコベニと、あとはパワー。(あいつは、どうぶつだ。ん。待てよ。パワーも、恋ってするんかな・・・)
「恋か。デンジ。それはな、悪魔と一緒だ。」
「は?」
ばらばらに散らばった悪魔の汚い死体を見下ろすデンジ。そこにはえげつないほどのグロい内蔵、目玉が飛び散っている。
「これのどこが・・・」
「お前にもいずれわかるさ。」
きらーん!と笑うリュウジだが、その背中はどこか寂し気だった。



☆次回、リュウジの渋色の恋