To be continued

単純な日記です。

詩ー残滓

自分のことを忘れられなくさせるためには一方的に自分の感情をその人に注ぎ込めばよいのだと思う。それはその人が見えなくなってからでもまだ、その名残みたいなものを一人でいるときに思い出させる。いろいろなすれ違いや確執を忘れてしまった後もそのことだけはよく思い出す。時に涙を流す。それから、この感傷の出所はいったいどこからだったんだろうと、水を絶たれた子どもみたいに考えると、やはり、その先にはその人しか居なかったように思うのだった。僕はその人の顔、笑い方、ぬくもり、それから泣き、怒り、僕に正当な答えを求めるためのあれこれや、くだらない事で笑い合えたことなんかをそのままで思い出す。それは何度でも、たしかに、別離の痛みとともにやってくる。僕は恋をしていた。誰かを愛そうとしていた。あの時、僕らは二人いて一人みたいな事もあったのに、いまは一人一人で別の道を行く。僕はその、注ぎ込まれた感傷それから感情を、たった一人の重みを思い出しながら、そんな事もあったなあと考えたりする。そしてその感情がもう僕の元は無く、単なるその残滓を僕が思い出しているだけで、またそれがやって来る時の唐突さと同様に、ここから一人で過ぎ去ってしまうことを待つのだった。