ねえ、今度は僕から話してみてもいいかな
僕が立てたまだ誰にも話さない仮説
どうして平和の形は今日の日も定まらず
まわりは忙しないままでいて
大人たちは決まりきったこと気にして
僕たちを黙らせようとする
もしかすると、僕らことを
ガラパゴスにいるトカゲみたいな怪獣のように感じてて
その成長を恐れているのかもしれない…
僕が立てた仮説
裏山で僕が僕ではない誰かになるつもりで書きためていたこと
学校へ行き、また家へ帰るだけの日々とは違う
いつもとは違うことをしたくって書き留めたこと
小さな世界
その中で僕は剣士 きみは魔法使いだったりなんかする!笑
まだ誰にも話したことのない秘密
僕達はまだ子どもだから、弱音ばかりだったね。
それに時に喧嘩をしたり、泣いたり、八つ当たりしたりもする。僕も、きみも、まだこれからの毎日が忙しくて、ついそのことを忘れてしまいそうになっていた
僕が聞いたきみの話
それからまだここにありもしない仮説
誰かに話した時だけ、それに少しだけ火がともる
その中で僕らは僕らのためだけに生きる
怪獣と言われようとかまわないんだ
ある日僕がまた裏山へ行ったとき
見たのは君の泣き顔
びりびりに破り捨てられたノート
ああ、仮説は…
この世界にありもしない約束は
簡単に消えてしまいそうになった。
僕は君という、《他人》というものをそんなふうに知ったんだ
それが、こんなに痛みとともにやってくるなんて、僕は未だ、知らなくて
僕はまた、一人きり書き留めるようになる。
それが本当になるように願い
けれど本当を願うことで、僕らは少しだけ大人になってしまう。
そうやって少しずつ、僕は君を、君は僕を埋め合わせていく……
例えば、もしもの話この世界に僕らがいなかったとしたらどうなるんだろう?
君のいない世界…
僕のいない世界…
けどそれは、僕らが信じない限り、現れない未来だってことを僕は付け加える。
僕たちはまだ子どもなんだけど、
ここにあるのは共に笑い合いたい、ということ
その前提があれば
全ての仮説はきっと消えないよ。
僕は大人になり、それから、まるで、宝箱を開けるようにして時々君と、僕たちだけで作った仮説を思い出してみる。
僕がいた世界
君がいた世界
奇跡だったんだよね。すべて…
けど、僕らは奇跡で終わりにしなかった!
僕は仮説を取り出してみる。
そのすべてが今はもう僕らの手の中にあることを、世界も、まわりも、人々も証明するようにきっとなる。
僕が大人になるまで
僕の世界は《君》から外へ繋がっていた
それは僕らが生き残るための定説だったみたいだ。