To be continued

単純な日記です。

僕はある時、お笑い芸人志望と見なされていた。きっかけは、僕の仲良くしていた人(3歳歳上•同性)が「ならへんか?」と誘って来たことによる。正直言って僕自身はお笑い芸人になりたいと感じたことがこれまでに一度たりともなかった。

その人が目を付けてくれたのは多分だけど、僕の文章の方で、人間性の方が向いていると思ってたのではないと思う。ともかく、僕は一応誘われて、それに対して返事をしなかったものだからそれは二人の間で「保留」ということにされていた。僕は、けど、お笑いは好きだし、たしかにそういう文を彼に送りつけたりはしていたと思う。ふつーに、面白いかな?と思いつくと止められなくなるし、笑ってもらうとうれしい。けどそれが必ずしもお笑い芸人になりたいってこととイコールじゃないとあたりまえに考えてはいて、多分芸人になりたいのは世の中に一定数いる目立ちたがり屋の人たちがなるものだと思っていた。そうして、なんとなくうやむやでいるうち、現役芸人の人たちと会う機会があった。たまたまかもしれないけど、芸人の人たち、テレビとかではへんなことをしているけどリアルで会ってみると、「こんな親しみやすくていい人っているの?」って感じの人がおおい…僕は、こういう集まりいいなと思った。芸人の人はいろんなことに興味がある人も多いし、学歴がある人とかさまざまである。なんていうか、特に目的は決めてない総合商社みたいな感じがした。僕はその人達とときどきやりとりをするようになった…何かよく分からないが、その時にその、紹介して来た人の中で「◯◯はお笑い芸人になりたい」という認識ができたようだった。僕の知らないうちに。そうするうち、その相手の態度が変わって来た。今まで友人として結構いろいろ親切にしてくれていたのに、その人はもはや「お笑い芸人の先輩」として僕と接しようとするのだ。たとえば突っ込み。行儀。それから自らを落とす、という部分。僕は、本来お笑い志望者ではなかったのでこの部分に拒絶反応が起きてしまった。僕は、実際お笑いは好きだったし、コントのようなものを書くこともあったけれど、でも、演じる側ではないと感じていた。僕の神経はもっと過敏だし、何かに対していちいち言わされるのがストレスで仕方がなかった。そうすると彼は「前はあんなに、言ってたのにな〜」と言った。前、って、親しい人との集まりとか、僕が仕事でストレスをためて管を巻いてた時じゃないか…なんというか僕らのその記憶違いの面(こういうのが、彼の人格だみたいな判断)に取り立てて異議を言いたいみたいな気力も起こらなかった。彼がそう思ってるんならそうなんだろ。今はしたくないんだからしないんだよ。だからそうやって僕は別にただ、ここにいること自体をお笑いに昇華して、全人格を笑ってもらいたいとは感じてはいなかったのだ。だから僕は、その人が人前で僕を、お笑い芸人の弟分みたいにいじり始めたのを見ているとき何か腹が立って仕方がなかった。僕は、その人には知らせていなかったけどひそかに小説を何本か書いていて、尊敬する作家の人だとか、目標だとかが自分の中で出て来た時だった。そうなると当然、好きでないものや、こうはしたくないみたいな信念みたいなものも出始める。以前はそれを、友達みたいに聞いてくれていた友人が、僕は好きだった。その人は、誰も言ってくれなかったことをちゃんと自分の経験して来たことと、自分の言葉で僕に投げかけてくれたから、僕は何度もそれで立ち直ったことを覚えていて、すごく感謝している。けど、もう、その人は僕をお笑い芸人としてしか見ていなかったので、今回、こう言った。「おまえ、そんなこと言うなよ。制作、とかいうけど、それがなんぼのもんなの?ああだこうだ、うるさい奴を、面白がれる奴なんていないよ?創作とか、エモミだとか…よくわかんねえ。そんなことばかり言ってないで、おまえ、自分の面白い顔でも研究してみたら?俺が、漫才見せてやるからさ」その人は文芸の方にも親しい人が数多くいて、自分の作るものに対して少し自負があるみたいだったから、多分僕がお笑いではない部分の、もっと高みを目指してはっちゃきこいている姿が面白くなかったのもあったのかもしれない。僕は自分の作るものでも何度もしつこく意味不明に直したくなるし、それを横から言われても説明する必要など感じていない。「うるさい」って何度も言いそうになった。邪魔するなよ。おまえのしたいことを押し付けるな。けど僕はその人のことがまだかろうじて好きだったので、それはやめておいた。けど連絡は取らなくなった。

僕が詩集を集めたり、書いたり、恋愛について語ったり、それをまとめてみたりするの自体をもう快くは受け止めていなかった。彼は何度も、彼の友人たちの前で僕のそういうところをしつこく、しつこくいじって笑いを取ろうとした。その度、僕らの間にある溝は深まっていった。僕は思う。こういうことは、いくらいじられても、笑いにしたらいけないところなんだよ。歯を食いしばって、中傷にも、知らんふりにも耐えなきゃならないことなんだよ。…けど彼は僕の胸中を知ってか知らずか、態度を変えなかった。僕は自分の中にあるプライドを、彼にもう見せないようにした。僕がそれをなくしたらもう、あとは何もかもを諦めて何も得ないままに死ぬしかないってこと、彼は知らないのだろう。気楽なもんだよな。お笑いはさ?

 

はっきり言って僕は彼の先輩(女が多かった)が僕のことをいじって来たことを忘れていないし、特に許してもいない。僕は一体、いつからお笑い界隈の人間になったのだと思う。こうなると彼の存在は限りなく僕からして迷惑でしかなかった。彼と関わりがあると、思われたくない。僕はそれよりも、僕のやることの方がずっと大切になっていた。彼が彼の人間関係とベースを何よりも大切にし、僕に押し付けてくるのと同じ重量でだよ。そのことを話していないからって、全て消化して許せていると思わないでほしい。

 

 

彼の中にあるのは、彼の集まりの中で僕をどのように味付けし、自分が育成していくかということに重点が置かれていて、僕は彼の、その保身じゃないけど自己イメージの強固さには驚いた。