To be continued

単純な日記です。

第九地区を見た

◯第九地区を観た

アメリカの街の上に、飛来したエイリアンのUFOが数年間滞在して居る。エイリアンは地上へ降りた。目的や理由は不明のまま、各当事者が語るというドキュメンタリー的な映像で映画がはじまる…のだが、Amazonのレビューでいろいろ書き尽くされていた。(そういう事だったのか…と思いつつ、)個人的感想では、まるで悪夢のような感触の映画だった。エイリアンは集団で飛来したため、アメリカの組織がそれを管理する事になる。スラムのような隔離地域にエイリアンを囲い、そこに住まわせるが見た目は廃墟も同然。エイリアンはゴミを漁り、キャットフードをもらって食べ暮らしている。

このエイリアンの容貌が二足歩行にしたゴキブリをグロテスクにしたようなもので、それが何度も体液を噴射しながら撃たれて死ぬシーンが繰り返されて出てくる。もちろんエイリアンが人間を殺すシーンも出てくる。見ているうち、これは、ほぼスプラッタ映画だと思った。序盤、エイリアンの持つ物体の噴射をあやまって浴びた主人公が何かに感染したらしく、爪が剥げ落ちたり鼻血や嘔吐がはじまるのだが、明らかに怪しい症状をかかえながらも帰宅すると、なんとサプライズで自分の昇進パーティーを妻が企画してくれていた。我慢しつつそれを喜び、妻の父(自分の上司)からエイリアン殺害の叱責をうけつつ耐えるが、結局自分の昇進パーティのケーキの上にゲロを吐くところで感染発覚となる、、、。主人公はエイリアンのような容姿にだんだん変化してゆくのだが、その変化の様子が秀逸というかグロさ全開で、体から生えてくる甲殻類のようなツノ&くさってく元のからだみたいのが最新技術でかなりきもち悪くリアルに形作られている、、、。

で、ゲロ吐いて全厚意を台無しにするクソ人間というか半エイリアンみたいなそういうシーンけっこう多く、とにかく全体をとおしてVSエイリアン対策本部となったあとも主人公はヒーロー的にはならない。単純に、エイリアン化する感染に犯された、それも何よりも自分の幸福や日常にしがみつく弱い人間としてある。運も悪く、仁義もなく浅はかなので、すぐに逆探知でいどころを割り出されてしまう。挙げ句の果てに、社会から命を狙われる自分はエイリアンとファックをしたためにエイリアン化しているのだというニュースまで出ていると知らされる…オエッもう、むり…、、、とおもいつつも見るが、普段から、周りの人からも頼りないという雰囲気で見られる逆玉の輿の主人公だったが、この映画ではそのまんまスッキリするようなシーンなどなく、争いがたい感染&くるった組織&エイリアンの破壊力に取り憑かれたキチガイ&&日常にいる上司という現的という構造にあり、救いみたいのが割となんもないのである。

アイアンマンでもあったが、ここでわりと重要な位置としてあるのがエイリアンの持つ特有の武器で、それは地球上にあるものよりも威力が高いのだが、特殊な技術によりエイリアンのDNAにしか反応しないつくりになっている。主人公のいた本部はエイリアンを管理するという建前でこの武器を集めていたのだが、偶然、感染してしまった主人公(片手だけえびになった半エイリアン状態)が武器を支えるようになったと知られてからさあ大変。主人公はエイリアンを試し撃ちさせられたり拷問されたり心臓を生きたまま取り出され垂らされそうになったりするのだが…このへんからグロ続きでオエってなります。

スプラッタ&ダウナーな要素がありつつ、エイリアンもグロく感染もアリだったりするので、観てから夕方くらいまでずっと胃がきもち悪くなってしまった。

エイリアンは地球を支配しに来たのではなく、一時着陸のような状態らしく、母船であるUFOから小さな機体が不時着していく様子を目撃した人もいる。実際にそれが、エイリアンを退去させ、主人公の感染をなおす糸口となるのだが…

エイリアンも、知能は低いが攻撃的、利己的だったりするのではなく、自分に危害を加えてこない限りは攻撃に出てこない。武器も沢山あるが、なぜか使ってこない。序盤は、食べ物を漁るエイリアンー主人公みたいのが出てきて、エイリアンもキャットフードのために人間に従っていたのかもしれない。はじめは、このエイリアンの設定自体が、あまりにステレオタイプな宇宙人的過ぎると思って不満だったが、全体を見て解説を見るとそこはどうでもいいみたいな感じだったのかも?つまりこっちから見ている他者=だいたいそんなもの、というステレオタイプはあるのかもしれず、その時点から社会構造自体の愚かさは始まっているのだろう。それからその中心に置かれてしまった持たざる人間がとくに理由も持たないままに縋るようにあらがい、結局その戻りたいと願う社会から、なかばみずから追い出される。書くの忘れてしまったが主人公はエイリアンの中でも知能のある一人と出会い母船に戻るための燃料を取り返すために一緒に戦ったりするのだが、結局エイリアンを治すための治療には3年待たなければならないと知らされたりし、それを待ち続けるシーンで映画は終わる。





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