To be continued

単純な日記です。

赤いスカートの女

現在、フリーターをしているためだいたい週6~週7くらいで仕事が入っている。店長がインフルエンザにかかったときなんかは、週13くらいになったりもする。で、そこにいるとともかくすることは一心不乱に作業をすることか、お客さんの観察をすることだったりする。

そこに来るお客さんで、僕がひそかに「ひみこ」と呼んでいる女の子が居て、最近その子のことが気になっていたりする。だいたい僕のいる店の客層は漫画喫茶ということもあり、怪しげなオタクだったり、中高生、ヤンキーだったりすることが多い。「ひみこ」は見た目は完璧なオタクで、会員情報を書いてもらったとき(そのときは一人の人間として僕の中で確立された存在でなかったのであまり覚えていない。)だいたい30代前半だということがわかった。

しかし、ひとの年齢というのは不思議なものである。僕はまだ、24歳だけれど、30歳から上というともう雲の上のような感じがして、30、40、50~99とならべられても誰がどれくらいの年齢なのかがわからなくなる感じがしてしまう。昨日、デヴィ夫人が79歳だということを知って、びっくりしてしまった。どう見ても60代くらいにしか見えない。僕の思うに、30を超えるともう、年齢と酸素による成長というより、本人の生活や、努力みたいなものが目に見えて表れてしまうのだと思う。

僕は最近筋トレをするようになった。

というわけなんだけど、ひみこのことが気になるようになったのはいろいろあるけれど、いつも決まった時間に来るということと、一度嵐の写真集を手に抱えて来たことで「嵐ファンなのかな?」という印象が強烈にこびりついてしまったことによる。

 

ひみこの性質はすごく控えめで、対人に対して異常にびびってしまっているところがある。僕は、あるとき、ひみこのリアクションが知りたかったので、ひみこが本の棚でがさごそしているときに近くを通りかかってみた。ふつうのお客さんならば①よける②気にせずそこにいる のだけれど、ひみこは僕が近くを通りかかると風に吹かれた草花みたいに「スウ・・・」とそのまま店からでていってしまったのだった。僕はひみこは、すごく控えめなんだなということと、それからもしかすると、僕のことを認知しているのかもしれないとその時に思った。その後ひみこはドリンク飲み放題の週、いつもの法則性を破って連続で現れた。僕は、そのことがうれしかった。ひみこは、僕にとって雀みたいにえ付けされにくいアニマルみたいな存在になっていたし、その感情は、かぎりなくKAWAIIに近いものとして感じられていた。僕はそれから、卑弥呼に対して法則性を当てはめて考えてみたいと思った。で、僕はひみこの胸中を探ってみた(注・僕一人で)。ひみこは、まずとにかく漫画を読むことが好きなのだ。そして、僕のことも一応認知はしている。そして、いつも特に意味もなくうろうろするのを僕が意識しているのも気づいている。で、だけどひみこは恥ずかしいのだと思った。ひみこは、漫画がどうしても見たくて来てることを少し、はしたないと考えていて、自分が漫画をむさぼり読んでいる姿を人から見られることに何よりも傷つけられる感じがするのだと思った。その証拠に、ひみこは一日一冊ずつしか本を読まない。あとはずうっとネットしているだけ。「何のために来ているのだ」といいたくなってしまうが、けど、僕はそんなふうに考えていて、「その気持ち、すごくよくわかるな」と思ってしまっていた。僕の場合も、こんなふうにまず、食欲を他人から見られるということが恥ずかしく、隠すことに何の価値があるのか問われても答えられないままにそれを隠してしまいがちである。もしかすると、これまで僕と一緒にいた人が「おまえのやることいみふめ」みたいな僕に感じて来た不可解な部分は今、僕がひみこの行動パターンに対して感じているようなことなのかもしれないと感じたのである。他人の目線を気にする・・・自尊心が異常に低い・・・逃げる・・・そんなことを考えているうち、僕の中ではひみこに対する共感が日々高まってしまっていた。というか、僕はいつのまにかひみこのことを考えるのが楽しくなってしまっていたのである。

 

そんなふうに「認知されている」悦楽を得た後でひみこに対する分析などもしてひそかに楽しんでいたのだが、しかし、この間来たとき、主婦のパートさんがひみこの後ろを通ったときもひみこはまた「スウ・・・」と開店ドアーのほうへ消えていってしまったのである。「僕」とか関係なく、ともかくひみこは人に認知されたりするのがいやなのだった。