To be continued

単純な日記です。

柿ピー

この間、アルバイトのパートさんとカラオケへ行く機会があった。いつもラストまで働く三人なため、何か次第に連帯感みたいなものが生まれてきている予感はここ数日のうち、たしかにあった。しかし、そこへSくんが「カラオケ行かへんか?」と持ち出すまで、僕らは即で雲散霧散しそうなくらいに仕事上の、なおかつあやふやなやり取りはしていなかったといってもいい。とにかく、僕たちはSくんの提案によってカラオケへ行くことにした…そう、ここは繁華街なため、カラオケ店とセブンイレブンならば山ほど建っているのである。僕は、実を言うと「カラオケへ行く」タイプの行動を一番苦手としていて、連帯感とか、仲良し感、あるいは、今、なんの疑問も感じてマセーーン!感見たいのを求められて手拍子を叩くみたいなことが絶対できない人間である。しかし、今回SくんとパートのMさんという、微妙に普段から見下しているタイプの人間だったため、僕は行ってみることにした。

思ったとおり、部屋に入って以後「ッッシーンッッッ」という空気が、僕たちを支配した…Sくんのことを、僕はちょっと考えた。ここへ来るというのはSくんの提案である。であるから、責任というのは自ずと、Sくんにすべてがある。けれど、年齢で言えば一番上がMさん、それから僕、一番下がSくんである。そう考えると影の責任者というのは実はMさんなのではないか。とにかくマイクを取りたくないけど、突如沸いたと思われるナカーマ的意識を消しされたくなかった合コン終わりの敗北者みたいにのこのこついて行った僕は、しばし打算的に考えたのである。とにかく、けれどSくんは勇敢だった。エスくんは、ちゃんと任務遂行とばかりに皆の飲み物を聞き、注文をしてから自らの歌の予約を率先して済ませた。僕は「S、やるな…!」と思いながら、ソファの角っこのクッションの間に挟まれる形の位置にいた。グムッみたいな。僕なりに、とにかくSには今日、百点をつけてやってもいい。おっと。そうしてるうち、Mさんまで曲を入れてしまったではないか。ああ、僕も歌わなきゃだめかなあ〜なんかバラードの、声裏返らないやつねえかな〜(でもラブソングとかちょっとなあ〜)みたいなことを考えてるうち、僕達三人の部屋におつまみセットと、それからアルコール等が届いた。Sくんが注文したそれを見てみると、そこには柿ピーとチーズというおつまみ詰め合わせがあった。

「Mさん、柿ピーって好き?」
「わたしですか?けっこう好きですよ」
「ふうーん」
「え、タカセさん食べないんですか?」
「俺?いや、食べるけど。こういうのっておっさんくさいんじゃないかなって思って」
「えー!そんなことないですよ。柿ピーって、けっこう子供も食べますよ。」
「まじで?」
「そうですよ〜。うちなんて、買ってきたら奪い合って食べて、翌日外側のビニール袋だけ置いてあるみたいなこと結構あるから」

僕はそのあと、Sくんが歌っているのをそっちのけで、Mさんと柿ピーについて、話し込んでしまった。その柿ピー考察について、まったくそれは面白くないという危険性をふまえた上で、あえてここに書いておこうと思う。


【柿ピー最強説】

①柿ピーには、柿の種とピーナツの両方がある。

②柿ピーは、亀田製菓以外からもたくさん出ている。

③柿ピーは、おつまみに有らず。

④柿ピーは、柿の種のフォルムを模倣している。

⑤柿ピーの発祥には、諸説ある。

⑥よって、柿ピーは最強なのである。



僕とMさんは、とにかくそれから会うたびに「⑥よって、柿ピーは最強なのである」を結び言葉として使うという技を覚えた。その間チューチュートレインを熱唱していたSくんが今日「なんでですか?」と聞いてくるのを見てMさんは爆笑していた。僕も噴火してしまいそうだった。